マリモJORNAL

近居のススメ

近年注目を集めている「近居」という言葉をご存知ですか?
「近居」とは、少子高齢化対策や子育て支援の一環として国土交通省が促進しているキーワードで、
「住まいは異なるものの、親世帯と子世帯が日常的な往来ができる範囲に居住すること」と定義づけられています。
同居と違って「近くで暮らす」という心地良い距離感が人気の近居。
結婚した子世帯が親世帯の近くに住居を構える「二世代近居」や、孫の面倒を祖父母にみてもらうことができる「三世代近居」、
親世帯・子世帯で同じマンションを購入する「2戸買い近居」など、近居の中にも様々な暮らし方があります。
そこで、今回のマリモジャーナルでは、近居のメリットや円満な近居生活をスタートさせるための心構えについてご紹介します。

近居のメリットは、親も子もお互いにうれしい
「4つのサポート」にあり!

子育てサポート 保育園・幼稚園や塾の送り迎えを手伝ってもらったり、急な発熱のときに病院に連れて行ってもらったりと、時間にある程度融通の利く親世帯に甘えられる点は子世帯にとって最大のメリット。親世帯にとっても、孫とふれあえる時間を多く持てることから、老後の生きがいを感じる人も多いようです。
家事サポート 「スープの冷めない距離」だからこそ、夕飯のおかずを届けたり、ちょっとした買い物を済ませてあげたりと、働き盛りで忙しい子世帯をサポートしてあげたいのが親心。年配の親世帯にとっては、高いところにある窓の掃除や電球の取り替えなどを子世帯に手伝ってもらえると、とても助かります。
経済的サポート 食材や生活必需品などをまとめ買いすることで家計の節約につながったり、2つの世帯でマイカーをシェアすることによって車の維持費を軽減したりと、子世帯・親世帯がお互いに経済面でサポートしあえる点も近居のメリットです。
老後サポート 万一の災害時にすぐに安否確認ができるのも近居ならでは。子世帯にとっては、両親の介護や身のまわりの世話など、老後の面倒が見やすくなります。「同居」はお互いに余計な気を遣ってしまうけれど、「近居」ならほどよい距離感で心地よい関係が築けます。

ケース別で見る「近居生活」のきっかけとホンネ

Aさんのきっかけ

賃貸マンションで暮らしていたが、妻の親から「購入資金を援助するから、うちの近くに新しくできたマンションを買わないか?」と
近居の相談を受けた。確かに、いずれ共働きになれば、両親が近くにいてくれると何かと助かるし、
マンションを買うなら年齢的にも今が良いタイミングかも・・・

妻の実家近くにマンションを購入

子育てもこれから何かとお金が必要なので、頭金を出してもらえたことは本当にありがたい。

私は仕事の帰りも遅いので、妻の家事負担の軽減のほか、子育てアドバイスなども助かっています。

月に何度かは実家へ夕飯を食べに行って、子どもをお風呂に入れてもらったりしています。まもなく育児休暇が終わりますが、お迎えなども手伝ってくれるそうなので、安心して復職できそう。

定年後、相続税対策について考えていたので、娘夫婦のマンション購入は生前贈与を行う良いきっかけになった。

何より、かわいい初孫の成長を近くで見守れるのがうれしい。

孫の面倒を見ることができるのは私たち夫婦にとっても良い生きがいになっています。

住宅を取得するための資金の贈与を両親や祖父母から受けた場合、700万円まで贈与税がかからない「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度(特例)」の適用が受けられます。詳しくは、マリモJOURNAL#05 「住まいの税金」ページをご覧ください。

Bさんのきっかけ

実家まで車で1時間以上の距離なので本格的に介護が必要になった時のことが心配だが、子どもも大きくなってきて、
学校や部活、習い事、お友達との関係などを考えると転校するのはちょっと難しい。
実家もだいぶ古く老朽化しているので、いっそのこと、両親が近くに引っ越してきてくれたら安心できるのに・・・

戸建てから買い替えで息子家族の近くにマンションを購入

両親が階段で転倒しないか?スーパーや病院まで車で通っていたので、まだ運転は大丈夫か?と心配がつきなかったが、ひとまず安心した。

近くなったおかげで、お誕生日会や運動会など子どもの行事にも誘いやすくなった。

お父さんお母さんが仕事で遅い日も、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に夕飯を食べられるので、寂しくない!

新しい住まいは駅から近いため、車を手放すことに。スーパーや病院も近くにあるので、今までより便利に暮らせるようになった。

マンションは草取りや庭木の手入れをしなくても良いので快適だ。

息子夫婦が徒歩5分ほどの場所に暮らしていると思うと、突然の体調の変化など万一の時も安心!学校帰りに孫が遊びに来てくれるのもうれしい。

Cさんのきっかけ

結婚をきっかけにマンション購入を検討。一緒に新築マンションのモデルルームの見学に来た両親が
「気に入ったので自分達も住みたい」とのこと。最近は親子で同じマンションを「2戸買い」するケースも増えていると聞き、
「近居」を視野に入れることに。そして、両親は長年暮らした一戸建てを売却し、同じマンションの別の部屋を購入。

同じマンションの別の部屋を購入

「一つ屋根の下」で暮らしてはいるものの、二世帯住宅のように生活時間やライフスタイルの違いに気を遣わなくても良いから、嫁姑関係のトラブルもなし。将来子どもが生まれたときにも、親の存在が頼りになりそうだ。

同居にはちょっと抵抗があったけど、このスタイルならお互い干渉しすぎないので気楽。将来子育てをするときも、同じマンションの中だから気軽に子どもを預かってもらえそう。

便利な場所に引越しをしたことで、自分たちの時間にもゆとりが持てるようになった。マンションなら息子夫婦にも資産として残せるし、老後のことを考えると息子夫婦が近くにいてくれるのは安心だ。

同じマンションで暮らしていても、フロアが違うと顔を合わせることもほとんどなく、今のところはお互いが独立している感じ。

お嫁さんは共働きを希望しているので、もし孫が生まれたら、保育園や塾の送り迎えなど、出来る限り子育てをサポートしてあげたい。

円満な「近居」生活のための心得は?!

ほどよい距離感をキープする

せっかくの近居も、お互いに干渉しすぎては台無しに。ライフスタイルや教育方針について口出しはしないなど、越えてはいけないラインを設け、親切の押し売りをしないよう心がけましょう。

生活時間の違いを認識する

親世代は早起きの朝型生活、子世代は深夜まで夜更かしする夜型生活と、親子でも生活時間は大きく異なるもの。日々の生活サイクルの違いをお互いに認識しておきましょう。

プライバシーを尊重する

事前に電話も入れずに突然訪問する、留守中に勝手に部屋へあがりこむなどの行為はNG。親子ながらも大人のマナーを守ったお付き合いを心がけましょう。

互いに頼り過ぎない

依存度が高くなりすぎるとお互い疲れてしまうもの。「自分たちでできることは、まず自分たちでやってみる」を念頭において、お互いのサポート体制を随時見直しましょう。

親世帯との調整役を引き受ける

自分の両親と配偶者の間ではどうしても直接伝えづらいことがあるため、調整役を引き受けること。ひたすら愚痴をきいてあげたり、断りにくいことをハッキリと伝えるなど、どちらに対しても平等な気遣いを見せることも調整役の任務となります。

感謝の気持ちを言葉に出して伝える

近居円満の一番の秘訣は、お互いに感謝の気持ちを忘れないこと。そして、その気持ちをしっかり言葉にして相手に伝えることが大事。「いつもありがとう」のひとことが、親子関係の潤滑剤になってくれます。

「近居」をはじめると、自治体によっては補助金を受けられる点も魅力のひとつ。例えば、近居をするために他のエリアから転入すると世帯人数に応じて支援金が支払われる「親元近居助成」(東京都千代田区)や、引越し費用の2分の1が支払われる「三世代同居・近居支援事業」(広島県広島市)などの助成制度が設けられているケースがありますので、事前に地域の制度について確認してみましょう。また、今なら親(祖父母)から住宅取得資金として生前贈与を受けた場合、一定要件を満たすと贈与税がかからない「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度(平成33年12月末日までの特例)」も適用されます。これらの公的支援や住宅税制を上手に活用しながら、「近居」生活をスタートしてみてはいかがでしょうか?